インプラントはどのぐらいもつのか?

 初診で来院された患者様から必ずと言っていいほど「インプラントをすると、どの程度もちますか?」と質問されます。個々人の インプラントがどの程度もつかは結果論ですから、率直に「インプラントがどの 程度もつかはわからない」とお答えしています。しかし、同時にお伝えしている のは学術データとしてのインプラントの残存率です。

 

 現在の歯根型インプラントは細胞の接着を良好 にするために、また骨との結合面積を上げるために、チタン表面を粗面にしたも のが主に用いられています。このタイプのインプラントの長期的予後を調査した 結果が近年報告されるようになり、その 10 年残存率は 95% 以上でした(表 1)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 すなわち、インプラントによって咬む機能を回復させてから 10 年経過したときに、 約 95% のインプラントは口の中で機能しているということです。さらに 20 年経過 を調査した文献(5)では、残存率が 89.5% と報告されていることから、口腔インプラント治療は予知性の高い治療法であると考えられます。

 ただし、注意していただきたいのは、口腔内の清掃状態が悪く残存歯が重度の 歯周病に罹患している人は、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)を発 症するリスクが高くなるということです(6)。また、喫煙習慣は残存率を下げるリスクファクターと考えられており(7)、2型糖尿病が悪影響を及ぼす可能性を指摘する報告もあります。 

 インプラントを長期にわたって健康な状態に維持するためには、患者様が毎日しっかり歯を磨くこと、定期的にクリニックでメインテナンスを行うことが欠かせないのです。

<参考文献>

2)Östman PO et al.: Clin Implant Dent Relat Res. 14: 852-60, 2012.

3)Rasmusson L et al.: Clin Implant Dent Relat Res. 7: 36-42, 2005.
4)Buser D et al.: Clin Implant Dent Relat Res. 14: 839-51, 2012.

5)Chappuis et al.: Clin Implant Dent Relat Res. 15: 780-90,2013.

6)Karoussis IK et al.: Clin Oral Implants Res. 14: 329-39, 2003.

7)Klokkevold PR et al.: Int J Oral Maxillofac Implants.22: 173-202, 2007. 

表:Biophilia 2014年 vol.3, No 2.上野大輔

  超高齢化社会を元気で安心に過ごしていただくための歯科の役割より転載